汝自身の神。(前編)
高山文彦−文
砂守勝巳−写真
(文藝春秋「Number」419号掲載 6/5 '97)
そのとき、前人未到の栄冠を半ば手中に収めていた。
何も焦ることなはないはずだったが、しかし、
ウェイン・レイニーは目いっぱいアクセルを開ける。
そして悲劇がおこった。今から4年前の話だ。
現役時代は、その冷静なライディング・スタイルのためか、
カリスマ的な存在とは成り得なかった。
3年連続でチャンピオンになり、史上初の4連覇を目前にしても、
それは同じであった。
みんなは知らないのだ。その内面に秘められた闘志を。
そして彼が生きてきた、狂気の世界の恐ろしさを。  

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